2021年 高雄映画祭
◎文/侯雅婷
◎翻訳/有田夏子
人々の熱い期待が集まる中、2021年の高雄映画祭が10月15日から31日にかけて、映画館とオンラインにおける同時上映で開催された。2021年のテーマは「謎と幻の楽園」。コロナウイルスが猛威をふるい、世界のあらゆる場所で日常生活の秩序が失われ、人々の活動が制限された昨今の状況に呼応し、今年の高雄映画祭ではシュルレアリスム映画を特集、『モア(1969年)』 、『砂丘(1970年)』、『ホーリー・マウンテン(1973年)4Kリマスター版』、『ブラック・ムーン(1975年)』、『バートン・フィンク(1991年)4Kリマスター版』の5作品を上映した。観客はシュルレアリスムの持つ超現実的な世界に浸りながら、日々の疲れを忘れてリフレッシュした。
高雄映画祭ではコロナ禍でも参加者を増やし、より多くの人々に作品の楽しさを味わってもらうために、オンラインによる開催を推進した。また2017年よりVR技術を、現在では広くXR技術を用いたニューメディア作品の普及に力を入れている。2019年より設けられた「XR無限幻境」カテゴリにて、今年は「高雄VR FILM LABオリジナル作品」、「VRコンテスト」、「XRパノラマ」の3つのテーマに基づき33の優れたXR没入型作品を展示・上映した。なかでも高雄VR FILM LABが発表した数々の新作は、台湾におけるメディアアートの最新動向を知るための貴重な場として、世界中の映画関係者たちの注目を集めた。他にも、高雄映画祭では自宅で作品を鑑賞する人々を含めて、多くの観客にバーチャルリアリティの没入感を体験してもらえるように、VRヘッドセットのレンタルプランを提供した。
高雄映画祭の国際ショートフィルムコンテストは今年で10年目を迎え、今ではアジア3大ショートフィルムコンテストの一つとして、東京と釜山に次ぐ知名度を誇る。今年国際ショートフィルム台湾部門の最高賞である金火賞は、黄詩柔監督による動画作品『水中の少女(Girl in the Water)』に贈られた。国際部門では、ローマン・ホデル監督による『ザ・ゲーム(The Game)』が、世界中からノミネートされた39作品にみごとに打ち勝ち、金火賞を獲得した。VR部門の金火賞はベンジャミン・スタイガー・レヴィン監督による『愛を失う時(Marco & Polo Go Round)』に贈られた。
コロナ禍の時代においても高雄映画祭はさらなる進化を遂げ、人々に豊かで貴重な経験をもたらした。高雄映画祭は、映画製作に力を尽くした映画界の人々に敬意を表し、これからも優秀な映画クリエイターたちの創作活動をサポートしていく。
閱讀中文版:
2021高雄電影節 首創雙開幕短片引領沉浸「謎幻樂園」
https://takao.kcg.gov.tw/article/659